砥石山・若杉山        〜福岡県筑穂町/篠栗町〜

        一九九四年五月二九日(日) 砥石山・若杉山 福岡山の会
JR篠栗線九郎原駅(9:15)→(9:50)登山口(10:05)→(昼食11:50〜12:05)→縦走路(13:25)→ショウケ越え→(15:40)若杉山(16:05)→(17:25)篠栗駅

五月一一日(水)に福岡山の会の集会に参加した。「アフリカケニア山登頂」の話があった。アフリカ大陸ではキリマンジャロの次に高い山がケニア山である。このほかにも五月の連休の「春山合宿」の北アルプス剣岳登山の報告が丁寧に行われていた。

 今回は福岡山の会の山行としては四回目の参加になった。前回の「山祭り」からは七週間ぶりである。私としては初めての沢登り体験である。朝七時に家を出た。甘木から太宰府経由で篠栗まで五五分。快調な運転だった。篠栗駅でしばらく時間をつぶし、九時発の電車に乗る。トンネルをくぐってすぐに九郎原駅に到着する。ここは無人駅で、駅舎もないさびしい駅だった。

 ここに集合した参加者は九人。今日の係のSさんを初め、総務係のKさん、山の会副会長のUさん、四阿屋でお世話になったKさんとIさんのほか、初対面になったのは二月に入会されたMさん、七五歳で最年長の「黒部の半魚人」Mさん、「沢女」のOさんの三人だった。このうち七人は沢登りのベテランで、初心者はMさんと私の二人だけだ。

 車道・林道をしばらく歩いて登山口の沢の入口に着く。ここでSさんからシューズとロープなどをお借りする。準備ができて出発する。シューズの中に水が入るので最初は気持ち悪い。慣れないのでなかなかうまく歩けないが、SさんとKさんの指示を受けながらなんとか進んで行く。水に慣れてくると楽しくなる。水を避けるのでなくてむしろ水の中を進んだがよい。Kさんは楽しそうに泳がれていた。滝などの滑りやすい危険箇所もあったが、ロープで確保してもらって切り抜けた。不慣れな初心者のためにずいぶん気をつかってもらった。

 三時間近く沢歩きをして終了。沢は涼しくて楽しかった。しかしこのあとが急坂で大変だった。三〇分ほど登って三郡縦走の縦走路に出たときはほっとした。三郡縦走は過去何度かやっているので心理的には楽だ。しかし長丁場なので体力的にはきつかった。縦走路には猪駆除のハンターが大勢いた。若杉山頂に着くと意外に人が少ない。午後も遅くなって巡礼者は下山しているようだ。売店は私たちの貸切りのようになった。ジュース・アイスクリーム・ビール・チューハイ・カップヌードルなどを食べていた。

 二五分ほどゆっくりくつろいで下山にかかる。あと登りはないのでのんびりと話しながら歩いた。Iさんは腰痛に苦しんであるということ。Kさんはこれまで岩登り・沢登りが中心で「普通の山登り」は余りやっていないとのこと。Mさんは二週間前に北九州の足立山・戸上山の縦走に参加されたとのこと。この日京都は雨で葵祭りが中止になっているが、福岡県の天気はよかったようだ。そこからOさんが娘さんと春に京都に出かけられたという話になった。

篠栗駅で解散。私以外の方は電車に乗り込まれた。帰りの運転も順調で一時間ほどで帰宅することができた。今日は出発から終了まで八時間という私としてはロングコースになった。昼食も一五分だからなかなかハードだった。三郡縦走をやったのと体力的には変わらないだろう。

 初めての沢登り体験をさせてもらった。山の会とかかわりを持って三か月になるが、私の山の世界は大きく広がっていきつつあるようだ。沢登り行事は七月に二回企画されている。Kさんが係の初心者向け講習会と大熊さんが係のものとがある。どちらも背振山系のようだ。都合はつきそうなので是非参加したいと思う。

 「阿吽」を山の会関係者に差し上げている。これに対してYさんから丁寧な手紙をいただいたので一部を抜粋して掲載する。

「ヨシキちゃんとの山行、だましだまし一歩一歩と山頂に向かう情景がほほえましく、回を重ねる毎に段々と成長して行く様が手にとるようです。小生の娘も四歳の時、牧の戸峠から久住山に登りました。その後も天拝山・四王子山・基山・宝満山・由布岳等々の山行を共にしましたが、小学校の高学年になった頃から、親離れの傾向が出て、ついて来なくなりました。」

「貴兄の文中に時々『高所恐怖症』の語が出てきます。小生にはよく分かりませんが、乗り物酔いと同様に多分に心理的なものではないでしょうか。小生もビルの屋上から下を眺めますと、足の辺りがムズムズしますが、アイガーやマッターホルン等、スイスの高峰を登る際は数百メートルの切り立った岩壁を投降しますが、何ともありませんでした。周囲のスケールが大きいとあまり高度感は感じないものです。貴兄も早く岩場や高度に慣れられて西穂高岳や奥穂高岳・槍が岳・剣岳等に挑戦して下さい。岩場に慣れる山行としては丹助岳・矢筈岳西峰(東峰は要ザイル)・市房山縦走等をお勧めします。根子岳はその後がよいでしょう。参考までに。」

「さて、『阿吽』はなかなか高度な内容を持った同人誌ですね。漱石の『明暗』についての座談会の村上氏の発言内容や『識っているけど知らないの』の脚注等は小生には難解でした。文学研究者(哲学者?)はむつかしい読み方をするものだと感心しました。しかしあの座談会に刺激されて、また漱石を読み直してみようと思い、手始めに、いま『漱石先生ぞな、もし』という随筆を読んでいます。

「小生が高校一年の時、国語のテキストに『寒山拾得』がありました。隣の席の級友が指されて朗読しましたが、文中に『小女』という語があり、彼が一瞬考えたので、小声で『コオンナ』と教えてやりました。彼がその通りに読むと、とたんにクラス中が爆笑し、教師も一緒になって笑っています。友は真っ赤になって『ショウジョ』と訂正しましたが、そのために彼には後で恨まれました。ご承知のように『小女』と『少女』では全く意味が異なります。その違いさえ分からない教師に失望し、国語の授業そのものも嫌になりました。」
     
                                              

  

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