草枕交流館    2006年6月・7月

  4月のくまもと漱石倶楽部の総会で、草枕交流館ができるという話を聞いていた。是非行きたいと思っていたが、なかなか行けなかった。ようやく一日日程をあけることができて、熊本に帰省することになった。子供の都合はつかずに私一人で出かけることになった。 
                                          
  甘木を8時過ぎに出発する。今日は雨が降ったりやんだりの一日だった。行き掛けの駄賃で「草枕交流館」に立ち寄った。ここは「草枕温泉てんすい」の入口にあった。 玉名市営で、入場無料というのは嬉しい。天水町は合併で昨秋に玉名市になっているのこと。9時半ごろ着いたが、他に誰もいなくて係員の方に親切に案内していただいた。
    

草枕交流館1


 漱石が小天に行った明治30年の暮れ前後の漱石、前田案山子、草枕の那美さんのモデルの前田ツナなどの解説が展示されていた。10分間の解説映像も私一人のために見せていただいた。この解説映像は分かりやすくて良くできていると思った。

 草枕温泉てんすい、那古井館にも立ち寄った。 草枕温泉てんすいも子供が小さい頃には良く入りに来たが、最近では御無沙汰している。有明海を望む展望露天風呂は楽しい。那古井館も18年ほど前に中に入ったことがあるが、その後は外からの見学ばかりだ。ななちゃんはずいぶん前に泊まったという。那古井館は温泉旅館でカニ料理が美味しいと評判だ。

 この周辺は「草枕の里」ということで観光に力を入れている。今年は夏目漱石が「草枕」を執筆して100周年という記念すべき年だ。 私が熊本市から小天までの「草枕ハイキングコース」16キロを歩くようになって11年になるが、11年前にはこの辺りには那古井館と漱石館くらいしかなかった。草枕温泉てんすいも歴史は新しい。これからもこの地を歩きたいと思っている。

 熊本の家には11時半に着いた。実家では何をするでもなく過ごした。本棚を眺めて考え事をしたりした。子供が熊本の大学にでも進学すれば、じいちゃんばあちゃんは喜ぶだろうが、そう簡単にはいかない。

 子供が小さい頃は子連れで帰省していた。1泊2日で帰り、1日は私が子供と遊び、もう1日はじいちゃんばあちゃんが子供を動物園、三井グリーンランドなどに連れて行ってくれていた。 子供が大きくなってこれも途切れがちになっている。

 15時過ぎに辞去して、そのあとはひとりで熊本市内の本屋さんめぐりをした。私が住む町には大きな本屋がないので、福岡市や熊本市の本屋に行くと、中を歩き回るだけでリフレッシュできる。私は基本的には本屋や図書館は好きだ。高校時代に学校の帰りに繁華街の本屋で立ち読みしていたことが懐かしい。

 私が行った本屋が入っているのは、昔の大洋デパートだ。後に、熊本城屋になり、いまはダイエーが入っている店舗だ。

 昭和48年の大洋デパート火災の大惨事を思い出した。 このとき私は高校生だったが、インフルエンザで学級閉鎖中だった。この日にデパート内にいた友人もいたが、難は逃れている。

 19時頃甘木に帰り着いた。高速料金は往復とも通勤割引で安く上げることが出来た。

 この翌日は日曜日だ。日曜日の朝はNHKBSの「週刊ブックレビュー」を見ることがたまにある。書評ゲストが毎回代わり、司会者がインタビューするという形式で進められるが、今朝は司会者5人の座談会だった。 4月に放送されたものの再放送だが、はじめてみた。

 藤沢周(この人は芥川賞作家で、直木賞作家の藤沢周平とは関係ないそうだ)さんは鎌倉のお寺や海辺を歩くのが好きなのだそうだ。私は3年前にヨシキと鎌倉を歩いたので親近感を持った。海を眺めながらの読書には憧れる。私は海のないところに住んでいるのでそう思う。

 中江有里さんは今読む本を置いておく部屋と、読み終わった本を置いておく部屋が別なのだそうだ。女優の中江有里さんは毎週出演なので、「義務としての読書」が大変だ。週一日「読書の日」を設けているとのこと。

 クラッシックピアニストの三舩優子さんはピアノの練習中にも読書しているとのこと。

 ノンフィクション作家の長田渚左さんはジョギングが趣味で、ジョギング先の公園の中で本を読んだりするそうだ。東京って意外に緑があるんだと改めて思った。

 声優の児玉清さんの書庫もすごかった。こんな読書空間が欲しいとも思うが、子供が独立したら家の中は広くなる。早ければあと10年ほど。 それは寂しいことでもある。 いつものような対談形式でなく、5人の司会者の座談会は個性が出ていて見ていて面白かった。それぞれの読書生活のあり方が示されて興味を感じた。

 この4週間後に親子3人で熊本に行った。この際に草枕交流館を再訪した。私は2回目だが、ななちゃんとユリは初めてである。10時頃着いたが、前回と同じく私たち以外には来館者は誰もいなかった。係員の方は前回とは別の方だったが、親切に応対して下さった。

 「草枕」の解説映像は3人で見たが、ユリも中2になってよく見ていた。ななちゃんは展示されている新聞記事を熱心に見入っていた。

 「草枕」関係の視聴覚教材が整備されていて、来館者が自由に見ることが出来るよう準備を進めているということだった。 今年の9月が「草枕」発表100年なので、それにあわせて企画を練っているという話を聞いた。

 那古井館にも立ち寄った。外を歩き、写真を撮った。

 このあと、熊本市内の本屋で秦郁彦さんの「漱石文学のモデルたち」(講談社、2004年刊)を購入した。

 「坊っちゃん」「吾輩は猫である」「三四郎」がとりあげられている。「草枕」の那美さんのモデルとしての前田ツナも少し触れてあった。  

草枕交流館2

草枕交流館3

那古井館の庭園


那古井館の漱石碑
「温泉や水滑らかに去年の垢」


那古井館の入口


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